【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
ひどいくらいに彼に夢中だと気付かされた、帰り道。
無言の空が雲を走らせながらなにか言いたげに、私を見下ろしていた。
なにを喋っていいのか分からなくて、マンションに着くまでずっと俯いていたら...。
高級マンションの自動ドア前で、派手な髪色をした男3人がしゃがみ込んだまま、タバコを吹かしていた。
こ...怖い。
なにあの人達、こんな所で迷惑だよ。
サッと蘭君の背中に隠れて、知らない顔してマンションの中に入ろうとしたのに。
「あっ、やっと来たな、紫蓮想の総長さんよ」
「待ちくたびれたぜ」
「怪我したって聞いたが、なんだ?女とデートかよ。余裕じゃん〜〜〜」
存在に気づいて、早速蘭君と私を取り囲む男3人は、地面にタバコを捨ててグリグリと踏んづけた。
嫌な汗がタラリと額から流れ始める。
蘭君の...仲間ってわけではなさそう...
嫌な予感しかしない。