【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「...こっち向け」
「...っ...」
「向けつってんだ、彩羽」
「ーーーッ!?」
誘惑された。
甘い声で名前を呼ばれた。
でも
さっき見た蘭君の姿があまりにも残酷すぎて、恐怖の方が大きかったから...彼と目を合わせられなかった。
なんでこんな時だけ名前で呼ぶの...?
今まで1度だって呼んだことなかったじゃん...。
複雑な心境に陥り、震えた身体はものすごく正直で。
でも彼を嫌いになれないのは...心に残った彼に対する特別な感情が残っているからだ。
「...やっぱ」
「...?」
「やっぱ、お前もそうかよ」
「...らっ...!?」