【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
蘭君は蘭君なりに、少しずつ私に心を開いてくれていたんだと思う。
それなのに、私が彼を怖がったせいで...
彼に冷たい目線を向けたせいで、彼はまた...冷たく心を閉ざしてしまった。
きっと彼にとって、冷たく見られるのは慣れていることで。
でも...今隣にいる人にまでそんな風に見られたら、誰だって傷つくよね...当たり前。
切なそうに一瞬だけ顔を歪めた蘭君のことが、頭から離れない。
今すぐにでも彼の方に手を伸ばして、"違う"って言ってあげたいのに。
違うってなにが?
彼を怖がってたのは正真正銘私じゃないか...。
夏風が喉を乾かせて、私の不安を煽るように体をすり抜けていく。
...さっきまで持っていたアイスの棒は、いつの間にか私の手から姿を消していた。