【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。





*



「最近元気ないね、彩羽」



ボーッとしてる間に、流れていく時が秋の匂いを強制的に嗅がせる。



制服の衣替えの季節。


秋冬の制服はチェックのスカートだから、春夏の無地で出来ている真っ黒なスカートとは違って、女子も男子も大喜び。



...でも、今の私にはそれを喜ぶ気力すらない。




前の席に座っている光花が、心配そうに私の顔をジィーっと覗いていた。




「...色々あったの」


「...色々って、まさかあの男と?」


「...うん」


「あの男...顔だけじゃなく性格まで冷たいなんて最悪ー!!
彩羽に代わって、私がガツンと言ってあげようか!?」


「ちょっ...!光花それだけはやめてっ」


「だって!!彩羽を苦しめる男なんか地獄に堕ちればいいのよっ!!」


「ダメダメ!!悪いのは私なんだから!
蘭君はちっとも...悪くないの...」


「...いろは...」





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