【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
ーーーカチッとタバコを吸うために付けられたライターの火が、嫌味なほど明るくて。
ああ、もうこんな真っ暗な時間だったんだ...。
風で揺れるライターの火と、それを見つめる私の目は、赤色に輝いて...
いつからだろう。
こんなにも蘭君に夢中になって。
もはや蘭君なしでは生きられないようになってしまったのは。
「写真、捨てるより燃やしちまえばよかったかもな」
「...あの写真...そんなに嫌な思い出なの?」
「...ああ、最悪だ。
"あの女"もあの写真のように、沈んでなくなればいいのに」
「...でもあの人って...蘭君の...」
「...」
"お母さん"だよね?
そう聞こうとしたけど。
蘭君の無表情の中に隠されてる辛さを見ると、やっぱり聞けなかった。
蘭君も私の言いたいことを察していたんだと思う。
でも、これ以上彼の口から何も語られることはなかった。