【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「いいか?今度あんたが百目鬼さんと話してるところを見かけたら...」
ゴクリと唾を飲んで、その先の言葉を待っているのに、なかなか言ってくれない。
胸ぐらを掴まれてるせいで、そろそろ息が苦しくなってきた
その時。
「ーーーおい、こんな所でなにしてんだ?お前」
横から聞こえてきた声に、目線を渡した。
「らっ、らっ、蘭君助けて!!!!」
怖すぎて体が動かないから
仕方なく涙目で助けを求めた。
だけど...
「...あ?」
蘭君の反応は薄い。
「こっ、この人が私を脅して...っ!」
「おい、まだ春は来てないんだぞ?
なに頭のおかしい事言ってやがんだ」
「だってこの人が私の胸ぐらを...っ!!」
「この人?...お前1人だろ」
「え?」
吸って吐いてを繰り返してる息は、いつの間にか解放されていて。
幽霊の文字をすぐに頭に浮かばせるぐらい、彼女の姿は一瞬で消えていた。
「なっ...なんで?」
目をぱちくりさせながら、不安げに見渡すけど。
やっぱり彼女の姿はどこにもなかった。