【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
*
「んーーーー、どっちにしようかな」
学校帰りに寄り道。
香水専門店に来て早くも1時間が経つ。
両手にオシャレな青い瓶と赤い瓶を持ちながら、どっちが蘭君好みの匂いなのか、匂いを嗅いでもどれがいいのかさっぱり分からない。
別に...特別な日ってわけじゃないけど。
出会った日から蘭君には助けられてばっかだし、お礼ぐらいした方がいいかなーっと思って...。
けっして物で釣ろうだなんて、そんな考えはしてないけど。
ほんっと、すべては好奇心のせいだ。
なんだか急に冒険したくなって
たまたまいつもとは違う帰り道を歩いていたら、住宅地にそぐわない綺麗なお店に目を奪われたから。
吸い込まれるようにドアを開けるといい匂いが鼻を刺激して、一気に夢の世界へ誘われた...
って、夢の世界じゃなくてメンズ香水専門店だったけどね。