【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「お客様、その香水ずっと持っていらっしゃいますが、お気に召しましたか?」
「あっ、いや、ごっ、ごめんなさい...っ!!」
「あっ、お客様!?」
持っている香水を、せっかく話しかけてきてくれた店員さんの胸に押し付けて逃げた。
...最悪だ。
こんな高そうなお店に、制服で入るなんて
場違いって言うか...私には少し早すぎたのかも。
「はあ...」
勝手に零れちゃうため息は、空気なんか読んでくれない。
私はただ蘭君の喜ぶ顔が見たいだけなのに...
私がなにかしようとすると...どうしていつも上手くいかないんだろう...。
香水の匂いが嫌味なほどまだ制服に染み付いているから、こんな状態で帰りたくなくて。
まだ開店してない居酒屋の外にあるベンチに腰掛けて、鞄に付いてるキャラもののキンホルダーをつんつんと人差し指で突っついていると。
「かーーのじょ。
こんな所で1人?なにしてんのー?」
金髪にグラサン。
そして柄物のシャツ。
見た目通りチャラい男が、語尾に『おんぷ』マークを付けて私に話しかけてきた。