【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。





「お客様、その香水ずっと持っていらっしゃいますが、お気に召しましたか?」



「あっ、いや、ごっ、ごめんなさい...っ!!」


「あっ、お客様!?」



持っている香水を、せっかく話しかけてきてくれた店員さんの胸に押し付けて逃げた。



...最悪だ。



こんな高そうなお店に、制服で入るなんて
場違いって言うか...私には少し早すぎたのかも。




「はあ...」



勝手に零れちゃうため息は、空気なんか読んでくれない。



私はただ蘭君の喜ぶ顔が見たいだけなのに...


私がなにかしようとすると...どうしていつも上手くいかないんだろう...。




香水の匂いが嫌味なほどまだ制服に染み付いているから、こんな状態で帰りたくなくて。


まだ開店してない居酒屋の外にあるベンチに腰掛けて、鞄に付いてるキャラもののキンホルダーをつんつんと人差し指で突っついていると。





「かーーのじょ。
こんな所で1人?なにしてんのー?」




金髪にグラサン。
そして柄物のシャツ。



見た目通りチャラい男が、語尾に『おんぷ』マークを付けて私に話しかけてきた。






< 189 / 451 >

この作品をシェア

pagetop