【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
改めて見ると、ものすごい画家が蘭君の顔にペイントでもしたんじゃないかって疑いたくなるくらい
蘭君はものすごく綺麗だ。
私...こんな人と今一緒に...歩いてるんだ。
ちょっとだけむず痒くなった心に遠慮して
少しだけ距離を取りながら歩いた。
「んだ、お前。
急に恥ずかしくなったのか?」
「ギクッ」
「わっかりやすい奴。
男慣れしてないうえに、一緒に居るのがこの俺だもんな」
「...自己評価高めなんだね、蘭君」
「茶化すな」
「どっちが!!」
くだらない事で言い合ってるうちに、私たちの距離は肩と肩がくっついちゃうほど、いつの間にか同じで。
コンクリートを踏む速さだって、長い脚を引っ込めながら気づかれないように私に合わせて歩く蘭君の影がゆらゆらと揺れていた。
「...蘭君って優しいね」
「お前に褒められても嬉しくねえ」
「なんでそう素直じゃないかな」
「こういう会話も、学生らしくていいだろ?」
「......?うん?」
「素直だな、お前は」
「蘭君と違ってね」
「...やっぱ全然素直じゃないな」
「さっきのお返しだよ〜〜」