【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
ーーーけれど。
「やめろ...」
心臓を手で押さえながら、呼吸すらまともに出来ていない蘭君が、警察に助けを求めようとした私から携帯を奪った。
「ちょっ...蘭君!!
返してよ携帯!!!!じゃなきゃ、あの子が大変なことに...っ」
「放っておけ...お前が関わる必要はない」
「なんで...?
今の見たでしょ?!
あの子あの男の人に虐待されてるんだよ!?」
それなのに...助けることを”やめろ”だなんて...。
蘭君、今正気じゃないからそんな事言えるんだよね...?
だって蘭君は、誰かを見捨てるようなひどい人なんかじゃ...ないもん。
「携帯...返して...」
「...」
「返してよ!!!!」
私も、正気じゃなかったのかもしれない。
せっかく、蘭君がUFOキャッチャーで取ってくれた熊さん人形を
捨てるように地面に投げて、彼から携帯を奪い返そうとその手を掴んだ。