【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
この病院で何回アナウンスが流れ、何回病人が緊急治療室に運ばれ、何回...医師が慌てただろう。
他人事ではないその光景に、怖くなって蘭君の部屋には行けなかった。
「ーーーあっ。彩羽ちゃん」
「こんにちは」
独特の匂いがする病院から出てすぐに、歩夢さんとバッタリ会った。
歩夢さんの手には、色とりどりの花束が可憐に咲いていて、蘭君には少し似合わないんじゃないかな?ってちょっとだけ笑えた。
「彩羽ちゃん、毎日来てるの?蘭のお見舞い」
「...はい、蘭君が目を覚ますまで毎日来ます」
「...そう。」
別に、おかしな事は言ってないよね...?私。
なのに
瞼を閉じて、なにか言いたげな歩夢さんの顔がひどく私を不安にさせる。
「そろそろ...行きますね」
「うん。」
「それじゃあ」
「あっ!彩羽ちゃん...っ」
「...はい?」
「なにがあっても、なにを言われても、蘭を信じてあげて」
「...へっ?」
「ねっ?」
「...?はい?」