【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
目が合って、それで、蘭君が私に言い訳して女の人を突き飛ばしてくれたらよかった。
そんなドラマみたいな場面が欲しいのに。
「んっ...」
女の人の吐息が漏れる。
いやらしいくらいに、目をこちらに向けたまま
蘭君は私にキスを見せつけている。
最初から、私がここに居ることに気づいていた彼は
妖艶(ようえん)に笑いながら女の人の腰に手を回し
そして。
シンデレラの靴が脱げないように、ホテルの階段をゆっくりゆっくり上がっていく。
「らんくん!!!!」
行っちゃダメだよ...っ
ねえ、なんで?
私には会ってもくれないくせに
なんで他の女の人はいいの?
なんで私じゃダメなの。
どこがダメか教えてよ...
そしたら私、直すから
直して、蘭君の理想になりたい。
アカイイトが切れてもいいから...せめてあなたの傍にいるのは私であってほしい。
いつだってそう願ってる。