【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「...はぁ...はぁ...」
互いの唇が離れて、漏れる息が恋の微熱となって吐き出される。
「...お前は...」
私から一歩距離をとる彼の目は、もう既に死んでいた。
その目を一瞬でも怖いと思ってしまった自分が情けなくなるけど...
光と闇の狭間なんて、もうどこにも存在しない。
彼にあるのは...一色の闇だけ。
「お前は...」
「...?」
「お前は、虐待を受けてるあのガキを殺そうとした」
「ーーーッ!?」
冗談か本気か。
この人は一体なにを言ってるんだろう?
私があの子を殺そうとした...?
「ちがう!!私は...っ」
「”助けようとした”とでも言うつもりか?
...ほんと、テメェのお節介には反吐がでるぜ」
「...」
「今頃死んでるかもな、あのガキ」
「ーーーッ!?」
「家の中に引きずられた時のあのガキの顔、お前も見ただろ?
余計なことしやがって、って顔でお前を見てたの気づかなかったのか?」
「...」
「お前のその無駄な正義が、あいつを殺したんだ。
お前が助けようとさえしなければ、あのガキはあのまま、あの瞬間の痛みだけで済んだのに」
「...」
「偽善ならもう少し上手くやらねーと、なにもかも見透かされちまうぜ?
俺はお前のそういうとこが嫌いだ」
「...っ」
「大っ嫌いだ」