【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
でも、なんで歩夢さんと未知さんがあの子を助けたんだろう...?
私と蘭君しか知らないのに。
それに、蘭君が歩夢さん達にあの子のことを喋ったとしても
あの子を助けることを妙に拒んでた蘭君が、わざわざ歩夢さん達に助けにいくよう命令するかな?
「なんで?って顔してるね。
なんでだと思う?」
どこまでも見透かしてくる歩夢さんが私に問う。
ずっと我慢していたのか、車の中に入って歩夢さんがタバコを吸うのはこれで三本目だ。
車の窓から入ってくる風にタバコの煙をわざと奪わせて、そのまま数分沈黙が走った。
先に沈黙を破ったのは歩夢さんの方。
「蘭が、君が絶対にあの家に来るから、面倒事に関わる前に”俺ら”で片付けとけって昨日の夜に連絡来たの」
「...らんくんが?」
「うん、だけど。
あっ、これ言っちゃダメなやつだから蘭には内緒ね?」
そう言われ、こくりと頷く。
「あいつ...彩羽ちゃんのこと突き放そうとしてるけど、本当は心配でたまらないんだよ」
「...」
「だから、君が面倒事に関わるのは蘭にとって不安でしかないんだ。」
「でも蘭君...私のこと大っ嫌いだって...」
「蘭は不器用だからね。
過去のことを思い出して、彩羽ちゃんに当たっちゃったんだろうね」
「蘭君の...過去?」
「うん」