【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
そんな俺にもライバルはすぐ近くにいる。
「ただいまー!!」
学校が終わってすぐに友達と虫取りに行ったせいで、服は泥だらけ。
靴も揃えずに、俺はドタバタ走ってリビングに直行。
「母さん!!」
満面の笑みで叫ぶと、母さんは後ろを振り返って「おかえり」と言ってくれた。
だけど...
「母さん...また鈴(すず)と遊んでんのかよ...」
俺は嫉妬を含めた目で、弟の鈴(すず)とオモチャの赤い車を床に走らせてる母さんを見てため息を吐いた。
「兄ちゃんおかえりー!!」
鈴は無邪気な笑顔で俺の脚にしがみつく。
俺は鈴が嫌いだから、ベタベタされんのも嫌だし、ムカついて頭を軽く叩いた。
「うわーん!!兄ちゃんが叩いた〜!!」
「こらっ!!蘭!!
ダメでしょー、鈴イジメちゃ!」
「別にいじめてねーよ。
小3にもなって母さんにベタベタしてる鈴がキモイだけ」
「弟に”キモイ”だなんて言葉使っちゃダメよ?
それに鈴はまだ小学三年生なの。母親に甘えたっておかしくない歳よ?」
「...」