【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。




「へぇー...いい女に出会ったな、蘭」



私とは逆の方向に歩き出した未知さんが、小さな小さな声でそう呟いていたことを私は知らない。



後ろを振り返ると、未知さんの姿は既になかった。




「...」


どうしよう、未知さんにはカッコつけてあんなこと言ったけど。


正直、蘭君に会うのが怖い。


また"大っ嫌いだ"って言われたらどうする?



あの時本気で傷ついたんだよ、私。



でも、本当は蘭君の方が
いっぱいいっぱい傷ついてるんだよね...?



蘭君、口は悪いけど
本当は優しいし
ちゃんと心は持ってる。



あんなに酷い裏切りや虐待を受けても
彼は歪んでない。


歪むどころか、綺麗なままだ。


真っ白だからこそ、汚されていくのかも。


でももう蘭君が汚れていくのは見たくないから。


全部終わらせよう...。




そして伝えるんだ。




ーーー好きだって。





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