【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
エレベーターのボタンを押すのに、何分かかったんだろう...。
上へ上へ、静かに上昇するエレベーターは、私のこの何とも言えない気持ちを察してくれてるみたいで、なんだかとっても居心地がよかった。
静かに扉が開く。
ドクドクと早まる心臓の音がうるさい。
どうしよう
どうしよう
ーーーどうしよう。
「あっ...」
「...」
蘭君の部屋まで、あと五歩。
でも
その距離を縮めてくれたのは、部屋から出てきた蘭君の方からだった。
私が居ることに驚いて一瞬目を見開いた彼は
すぐに目を細めて睨んできた。
「あれだけ言っても、また俺の目の前に現れるとか...。
...お前はストーカーか?」
無視されると思ったのに、先に口を開いたのは蘭君の方からで、驚きを隠せない。
でも相変わらず、蘭君の私を見る目は冷たい。
「ストーカー...したら、構ってくれるの?」
「...バカなのか?」
「本気だよ。
だって蘭君、私のこと避けてるんだもん。
だったら私だって、構ってもらえるよう努力する」
「それでストーカーになるとか、お前やっぱどっかおかしい」
「...」