【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。




寂しさで、理性が保てなくなったオオカミは
私にすべてを委ねようとしている。



...怖い。


だって私、初めてなんだもん...。


だけど、こんな辛そうな蘭君の顔...もう、見たくない。


私は蘭君の手を押さえて、何もかも包み隠さず自分で服を脱いだ。



おかしいな...

自分がこんなにも大胆だったなんて、知らなかったよ。


でも、初めてが蘭君なら...幸せだよね。





私に覆い被さる蘭君は上半身だけ服を脱いで、その服を床に落とす。



ーーーギシリとベッドの軋む音と、波立つ黒いシーツ。



お互いの目が触れ合う。


父親から虐待を受けた証拠が、蘭君の体には残っていた。


私はそれを人差し指でなぞる。





「...触んなよ、こんな汚ねえもん」


「...ううん、綺麗だよ?」


「...どこが」


「蘭君はどこもかしこも綺麗だよ」


「...っ...バカ」






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