【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
それじゃあ私のあの決意はなんだったの。
本当に怖かった。
はじめて体験した快感と、自分が自分じゃなくなってしまう未知の世界。
私が...私だけが気持ちよくなっちゃいけないのに。
それを罪悪感だけで済まされるなんて
私...ただ自分が満足しただけじゃん。
「...っ...」
「泣くなよ彩羽、俺はお前に泣かれると辛いんだよ」
「...蘭君には何回も泣かされてるもん...わたし」
「...ああ、知ってる。
だから俺なんかやめちまえ」
「...無理だよ...好きなんだもん、簡単に止められるほど、楽な恋じゃないもん」
「それでも俺は...お前の想いを受け入れられない」
「...」
「俺は...本当の意味で親からも誰からも愛されたことがない。
だから。
愛されることが怖いんだよ」
「...」
「俺はお前が怖くて仕方ないんだ。
俺の心に簡単に入り込んでくるお前が...怖いんだよ彩羽」
「...ら、ん...くん」
そっと目を閉じて、なにもかも忘れられたらよかったのにね。
辛くて
苦しくて
痛くて
悶え死んでしまいほうなほどーーー。
幼い頃の記憶って、なんでこんなにもハッキリと
私たちの心を踏みにじるんだろう。
無邪気で恐れを知らなかったあの頃の自分が怖い。
怯えてる。
蘭君は自分自身にさえ怯えているんだ。