【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「でも、まだ好きなんでしょ?」
真っ黒なコーヒーの中で溺れ溶けていく氷を見つめるながら言う歩夢さん。
私は素直に頷いた。
「1週間ちょっとで忘れられるなら...その程度ですよ」
「はは、彩羽ちゃんしつこそうだもんね」
「もう!歩夢さん!
振られた女を茶化すなんて、性格悪いですよ」
「いやいや、思ったより元気そうでよかったなーって安心してるんだよ」
「...」
歩夢さんのそういう優しいところ、私好きだ。
なんて言うか...お兄ちゃんがいたらこんな感じなんだろうなー...。
まあこの人、同い年なんだけどね。
オレンジジュースを飲み干して、お店にある時計を見ると、そろそろ帰らないといけない時間だ。
門限はあるけど
お母さんはどうせ仕事だし、帰りが遅くなっても気づかれない。
でも歩夢さんと二人っきりでずっと居るわけにもいかないから。
「歩夢さ...帰...」
帰りましょう。と言おうとした私の言葉を遮って
ーーーコンコンと窓ガラスを叩く音がすぐ近くから聞こえてきた。
その音に反射的に反応して、顔を横に向けると。