【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。






「でも、まだ好きなんでしょ?」


真っ黒なコーヒーの中で溺れ溶けていく氷を見つめるながら言う歩夢さん。


私は素直に頷いた。



「1週間ちょっとで忘れられるなら...その程度ですよ」


「はは、彩羽ちゃんしつこそうだもんね」


「もう!歩夢さん!
振られた女を茶化すなんて、性格悪いですよ」


「いやいや、思ったより元気そうでよかったなーって安心してるんだよ」


「...」



歩夢さんのそういう優しいところ、私好きだ。



なんて言うか...お兄ちゃんがいたらこんな感じなんだろうなー...。



まあこの人、同い年なんだけどね。




オレンジジュースを飲み干して、お店にある時計を見ると、そろそろ帰らないといけない時間だ。



門限はあるけど
お母さんはどうせ仕事だし、帰りが遅くなっても気づかれない。



でも歩夢さんと二人っきりでずっと居るわけにもいかないから。


「歩夢さ...帰...」



帰りましょう。と言おうとした私の言葉を遮って
ーーーコンコンと窓ガラスを叩く音がすぐ近くから聞こえてきた。


その音に反射的に反応して、顔を横に向けると。




< 314 / 451 >

この作品をシェア

pagetop