【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
外は真っ暗なのに、街の明かりと賑わう人の声でまだお昼みたい。
ピタリと蘭君が急に足を止めて、外から見ても物で溢れ返っている雑貨屋さんの中を窓越しに見ていた。
「欲しいものでもあるの?」
「いや、別に」
そう言って、急に私の肩を抱き寄せる蘭君は
人だっていっぱい居るのに、視線なんかお構い無しに顔を近づけてきた。
キスされると思って、咄嗟に目を瞑るけど...。
「やっぱり、お前の顔見てると安心する」
「...へっ?」
キスなんかじゃなかった。
そりゃあそうだ。
普通こんな所でしないよね...
なんでされると思ったの、私。
「いつも睡眠不足だったけど。
あの日から、お前に顔を合わせる度安心して眠れる」
「...なっ、なにそれ、変なの」
「ああ...でもお前の隣は居心地がいい」
「...っ...」
なにサラッと嬉しいこと言ってくれちゃってんの。
蘭君が甘いと...わたし、心臓が痛くなるから
そんな優しい顔して見つめないでよ...。
振られたことも忘れて
また好きだって言ってしまいそうになる。