【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「いや...っ!!」
ベッドの上に乗って私に覆い被さる蘭君は
目線を逸らされることが気に食わないのか、叩いた頬を勢いよく掴んで強引に目を合わさせる。
「...っ...!?」
震えが止まらないのは...私の方なのに。
なんで
蘭君の方が...そんな泣きそう顔をしてるの?
「...お前が...」
「...」
「お前が...火事に巻き込まれたって聞いた時、俺がどんな気持ちだったか...分かってねえだろ?」
「...っ!」
「お前が親父のときみたいに。
火に溺れて、もう戻ってこなかったらって。
考えただけでもゾッとするのに」
「...」
「少しの間目を離しただけで
なんでお前は...俺のトラウマの奥まで入ってこようとするんだ...。
振った俺への当てつけか?」
「ちがっ...!」
否定しようとした私の口を閉ざすように、そっと蘭君の人差し指が触れる。
なにを考えているのか分からない彼の魅力に囚われて惑わされる...。
ねえ、本当は私のことーーー...。
「俺は普通じゃないんだよ彩羽...。
ずっと過去に囚われたままなんだ。
そんな俺がお前を幸せにできるわけないって分かってるから、もう俺のことなんか忘れてしまえばいいって...そう思ってるはずなのに」
「らんく...」
「でも俺はお前のことを何度傷つけても、お前から離れられねえみたいだ。
実際、今も触れたくてしょうがねえ」
「...っ」
「抱きしめたくなるこの衝動は愛なのか?
お前に嫌いって言われて今の今まで傷ついてるこの気持ちは恋なのか?」
「...」
「なあ彩羽...おれ、自分が思ってる以上にお前に依存してるみたいだ」
「...らんくん...」
「責任取れよ。
心臓痛くてしょうがねえんだよ。
お前を追い詰めてることは分かってる...けど
お前が隣にいてくれないと俺、嫌なんだよ。」
「...」
「死ぬ時は俺の目の前で死ね。
それで俺も...お前の後を追う。
そしたらまた、別の世界で」
"同じ痛みを味わおうか"