【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
私の首に優しく触れてきた蘭君がーーーグッと力を込める。
永遠の暗闇の中で、私の首を絞めたあの男の子の正体が、今やっと分かった。
あれは...苦しくても死ぬ事が出来なかった幼い頃の蘭君。
誰にも理解されない痛みを私にぶつけていたんだ。
ーーーそして、今も。
「...はぁ...っ」
泣きながら私の首からそっと手を離すその男は
口角を上げて儚げに笑っていた。
同じ痛みを味わっても、どちらかは痛くない。
私は今、蘭君が泣いてくれてるおかげで
痛みもなにも、死ぬことだって怖くなかったよ。
「バカ...、少しは抵抗しろよ。
本当に殺すわけ...ないだろ」
「...ケホッ、知ってる。
だから抵抗しなかったんだよ...」
「...っ」
「私はなにがあっても、蘭君から離れたり...しないよ」
「...」
「離れたいと思っても、離れられなかったんだもん。
死を覚悟したときだって...最後までずっと蘭君のことばかりで...っ、それで...っ」
...一心同体になれたらいいのにね。
もう一生、死んだって離れられなくなるような
それは恋とは違って、苦すぎて甘すぎず、縛り縛られ、永遠に解けない呪いのような...。
誰にも理解されない蜜の味を、味わっていたいの。