【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
怒り疲れてその場に座り込む丸川さんに
なんて言ってあげたらいいのか分からなくて。
でも、今の丸川さん
あの時の私と同じ目をしてる。
嫉妬で濡れた、光のない目を。
「...言っとくけど、可哀想だなんて思わないでよね」
数分経って、ゆらりと立ち上がる丸川さんが私を見下ろす。
...蘭君のことが本気で好きな丸川さんの気持ち、痛いほど分かるから
可哀想なんてそんな残酷なこと思えない。
あの頃の...蘭君を追いかけてる時の自分を思い出すから。
「ねえ...、もうあんたの前に現れないからさ、一発殴らせてよ」
「...っ!?」
「どうせ...もう百目鬼さんが手に入らないなら、追いかけたって意味ないし...。
だけどやっぱり。百目鬼さんの相手があんたっていうのが、どうしても気に食わないから」
「ーーーッ!?」
グッ!と拳を構えて、私の胸ぐらを掴んで立たせる丸川さん。
この人...っ、本気で殴る気だ。
どうしよう
どうしよう
どんな痛い目にあっても、蘭君を護る覚悟は出来てたけど...。
これはちょっと違う。
これは丸川さんの感情の問題じゃないか。