【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
それでも...
私を殴って丸川さんの気が収まるなら...。
スっと目を閉じて、殴られる覚悟をした。
「...黙って百目鬼さんと別れる方を選んでれば、殴られずに済んだのに...」
そう呟いた丸川さんの声は、少しだけ震えていた。
グっと、私の胸ぐらを掴む力が強くなる。
「...っ...」
そして。
ーーーバキッ!!!!
太陽が容赦なく照りつけてる影のない屋上で、痛々しい鈍い音が広がった時。
目を瞑って覚悟した...私の勇気はどこに逃げていったんだろう。
痛みが全然やってこない...
不思議に思って
薄ら開いた目から、見える大きな背中。
「な...んで」
驚いた顔で呟く丸川さんの小さな声が、悲鳴に聞こえた。