【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「...っ...女のくせに、痛えじゃねーか...」
私を庇った蘭君が、丸川さんに向かって言う。
風のように現れたヒーローは
ぐるりと私の方を向いて、ペタペタと頬を触ってきた。
「どこも怪我してねーだろうな」
「...っ、なんで蘭君がいるの...」
「お前が教室から出ていくの見たから、女共追っ払ってお前を追いかけたら...今この状況」
「...女の喧嘩に入ってこないでよ」
「ビビってたくせになに強がってんだよ。」
「...」
そりゃあ強がりたくもなるよ。
だって、蘭君が私なんか庇ったせいで
丸川さんは好きな人を殴っちゃったんだから。
...ものすごく辛いことだよね、それって。
「...馬鹿みたい」
っと、私の心配を余所に。
丸川さんは強がりにしては辛い言葉を蘭君に向かって吐いた。