【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「おい...丸川」
屋上から出ていこうとする丸川さんを、蘭君が止める。
未練なんか、今この場で消えてしまえばいいのに
好きな人に呼ばれて立ち止まらない女はいない。
相手の気持ち知ってて呼び止める蘭君って...ほんと残酷だよね。
「...悪かったな」
「...なにが、ですか」
「色々と、だ。
正直俺は彩羽以外の女の顔はほとんど覚えちゃいない」
「...っ」
「こんな時に、こういう事言うのは最低だと思うが。
...色々と悪かった」
「...」
謝るなんて、蘭君らしくない。
けど。
そんな好きな人のらしくない姿を見せられて
一気に力が抜けたのか、コンクリートに涙を落とす丸川さん。
丸川さんが立ってる場所だけ、涙で影が出来たみたいだ。