【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「うう...いただきます。」
泣きながら食パンをかじる。
焦げてる食パンは苦いはずなのに、なぜかしょっぱい。
会話もないまま黙々と食べ続け、数分が経つ。
パンがなくなった真っ白なお皿には、パンのくずが点々と、模様みたいに残っている。
「ごちそうさまでした」
手を合わせながら蘭君に向けて言うと。
「よし、そのまま帰れ」
蘭君が指さす方は玄関。
あれ...?ちょっとだけ心開いてくれたと思ったんだけど...
気のせいだったのかな...?
「あっ、じゃあ帰ります。
あの、蘭君ありがとう」
「二度と俺にその顔見せんな」
「...そこまで言わなくても...」
「ほら、さっさと帰れ」
簡単に突き放され、一気にテンションが下がってしまう。
玄関で揃えてある靴を、わざとゆっくり履いても。
彼が見送りに来てくることはなかった。