【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「んな泣くことないだろ彩羽。
どこのガキだ、お前は...」
落としたアイスごときでメソメソ泣く私を見て、若干引いてる蘭君が食べかけのバニラアイスを差し出してきた。
「これやるから泣くな、うぜえ」
「うっ...蘭君って優しいのか冷たいのかよく分かんない...」
「それ聞き飽きたな。
他に俺に言うことあるだろ?」
「...ありがとう」
「よし」
完全に子供扱いされてる私は、蘭君に頭を撫でられながらバニラアイスを食べた。
体温が下がっていくを感じる...気持ちいい。
「あ、あのさ蘭君」
バニラアイスを食べ終えて数分は経ってるのに
まだジンジンとアイスの冷たさが広がっていく口をそっと開いた。
「今日、蘭君のマンション行っちゃダメかな?」
持っていた木製のアイス棒をパキッと無意識に折っちゃうくらい、緊張していた。
久しぶりに蘭君のマンションに泊まりたい。
彼女だから...別に、お泊まりしたいって思っても変じゃないよね?
でも。
「...悪いな彩羽、今日の夜は紫蓮想の集まりがあるんだ。」
なんでもかんでも、私優先ってわけには...いかないみたい。