【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「お邪魔しました...」
嫌々彼の部屋から出た。
会ったばかりの私達がほんの少しの時間で、グッと距離が縮まったのかと思ったのに...。
それは私の勘違いだったのかも。
1人で浮かれていた、恥ずかしい。
本当は帰る前に連絡先を聞いて
友達からの関係から始めたかったのに...。
「うーん...なんかなー...」
ボソッと呟きながら乗るエレベーターは、私のテンションに合わせて下へ下へと降りていく。
おかしな関係。
まったく知らない男の人の部屋に、1夜だけ泊めてもらうなんて、犯罪臭い。
知りたかった、もっと知りたかったのに。
これ以上は踏み込めない、踏み込んだらきっと...すべてが終わってしまうような気がして。
朝独特の光を浴びながら、寂しさを残して、自分の家に帰った。