【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「ねえ、誰と来てるの?
1人ってわけじゃ...」
ちらりとテーブルに視線を移す鈴君は
向かい側に置かれている食べかけのポテトを見て、色々と察する。
「ああ。
もしかして彼氏さんと来てるの?」
「うん」
「じゃあ僕と彩羽先輩が仲良く喋ってるの見られたら、怒られちゃうね。」
悪気がないのか、なんなのか。
"仲良く"を強調する鈴君。
ーーーと、その時。
「おい、彩羽。
誰だそいつは」
お手洗いから戻ってきた蘭君が、庇うように私と鈴君の間に割って入ってきた。
「あっ、蘭君おかえり」
「俺がいない間になに一丁前にナンパされてんだ」
「ナンパじゃないよ...えっとこの人は。」
鈴君に視線を戻して、紹介しようとしたら。
鈴君の方から、先に口を開いた。
「こんにちは!
彩羽先輩の彼氏さんですか?
僕、千種鈴って言います」
ニッコリと笑って、手を差し出す鈴君。
そんな鈴君を無視して、蘭君は私の腕を引っ張った。