【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「帰るぞ、彩羽」
「ちょ...っ!
待ってよ蘭君!!鞄!!」
イスに置いてある鞄を取って、今すぐこの場から離れたそうな蘭君の背中に近寄ると。
「なに焦ってるんですか、百目鬼蘭"さん" 」
名前も、顔も、何一つ蘭君の情報を鈴君に教えてないのに。
すぐ後ろで妖しく笑う鈴君は、何かを知っている。
その答えを知りたくない
聞きたくもないのに。
挑発するかのように、私と蘭君の前に立つ鈴君。
その目は、もう逃げられないと訴えかけていた。
「ねえ、なにをそんなに怖がってるの?
久しぶりの再会に驚いてる?
僕から逃げるってことは、僕のこと知ってるんだよね?」
「...なんの話だ。
邪魔だ、退け」
ーーグッと鈴君の肩を押して、知らない振りを突き通す蘭君がファーストフード店から出ようとすると。
「僕は知ってるよ。
百目鬼さんのこと、昔からずーっとね...」