【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
彼の意味深な発言に惑わされて、蘭君がピタリと足を止める。
だめ
ダメだよ蘭君。
早く逃げなきゃ
だって...ーーーもう本当は。
「いきなり俺の前に現れて...なにが目的だ?」
やっと口を開いた蘭君は、空いている席にドカッと座って鈴君を睨んだ。
「現れたのは兄さんの方でしょ?
ほんとビックリしたよ。
まさか生き別れの兄が自分の学校に転校してくるなんてね。」
「...」
「放送の呼び出したまたま聞いてたら、兄さんの名前が呼ばれるんだもん。
同姓同名かと思って、大して気にしてはいなかったけど。
たまたま兄さんと彩羽先輩が一緒に廊下を歩いているとこ見かけてね。
一目見てわかったよ...兄さんだってね。」
「...」
「百目鬼蘭だって。
忘れるわけないよなー、実の兄の名前を覚えていて当然だろ?」
「俺はお前のことなんか...」
「嘘はよくないよ、兄さん。
だって兄さん、僕を見て逃げようとしたじゃん。
兄さんが忘れていても、兄さん自身は忘れていないみたいだね」
「...テメェ...俺に近づくために、彩羽に近づいたのか?」
「当たり、さすが兄さんだ」