【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
*
頭の中では分かっているつもり。
でも近くにあった彼の存在が、未だに温もりとして残っているから...
また会いたいと願ってしまうこの気持ちは...なんだろう?
「うぅ...今日も雨か...」
教室の窓から見つめた、ポツポツと静かに降り注ぐ雨。
夏なのに、梅雨本番並のジメジメ感が汗を温くする。
びしゃびしゃと運動場に出来た水溜まりは、涙を堪えているように見えて憂鬱だ。
ここのところ雨が続いている。
蘭君と出会った日から、今日で1ヶ月。
あの日から関係が進むどころか、存在すら見かけていない。
本当に終わってしまった、一夜限りの関係。
子供にしては濃い、大人にしては浅い。
そんな、関係すら始まっていない一夜だったのかもしれない。