【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「母さん...兄さん連れてきたよ」
リビングに私達を案内する鈴君が、そう言いながらドアを開けた。
ドックンドックン、と。
手加減なしで鼓動が猛スピードで鳴る。
リビングに入っていく蘭君。
すると
ーーーガバッと彼に飛びつく女の人は
なんでそんなに
なんでそんな簡単に。
捨てた息子のことを抱きしめる事ができるんだろう...。
「らん...っ、会いたかった」
「...っ」
「ごめんね蘭、ごめんね」
謝っても許してもらえる話じゃないことくらい、分かってるくせに。
女の涙という武器で、同情を買おうとする母親の心理が知りたい。
嫌でも血が繋がってることを思い知らされる。
だって本当に、蘭君そっくりなんだもん。