【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「なんでだよ兄さん!!
やっと家族に戻れるってときに、なんでそんなこと言い出すんだよ!!」
空気を読まずに叫び出す鈴君は、何も分かってない。
もう鈴君と蘭君は......他人なんだよ。
「彩羽、行くぞ」
「おい兄さん逃げんのか!?」
「逃げてねえ。
もう逃げたくないから、ちゃんと決着つけにきたんだ」
「決着ってなんだよ!!兄さんは嘘つきだ!!
俺は昔みたいに兄さんと兄弟に戻りたかっただけなんだ...っ!!
なのになんでそんなーーー...」
突然ハッと我に返る鈴君。
蘭君は鈴君のことを、なんの感情もない冷たい目で見ていた。
それが、なにを意味してるのか。
ようやく理解し始める鈴君が、その場に膝をつく。
「...じゃあな、鈴」
それだけ言って、蘭君は俯いたままの2人に背中を向けた。
完全に、家族との縁を切った瞬間だった。