【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「不味かったら絶対文句言ってやるわっ」
「でもあそこのケーキ、美味しいって評判だよ?」
「私の舌は一般人と違って肥えてますから」
「あはは、光花お嬢様だから確かに美味しいものしか受け付けなさそう」
学校から出て数分歩いたら、人混みで溶かされてしまいそうなほどの賑やかな街に着いた。
赤信号で立ち止まる人に紛れて、光花とくだらない会話をしていたら。
「あっ...」
鼻の先に落ちてきた水滴が勢い余って弾け飛ぶ。
顔を上に向けると、いつの間にか黒い雲が不気味に空を支配していた。
「...今日はケーキ、無理そうね。
諦めて雨が降る前に帰ろうか」
今すぐにでも泣いてしまいそうな空を見上げて、残念そうにため息を吐く光花。
「そうだね...また今度にしよっか。
それじゃあ光花、私こっちの方から帰るね」
本当は雨が降ってても、私は行きたいけど。
私のワガママに光花を付き合わせるわけにもいかないから
残念だけど...今回は諦めるしかないや。
「うん、気をつけて帰りなさいよ〜」
「光花もね!風邪引いて学校休まないでよー!!」
「私は雨ごときで風邪なんか引かないわよっ!!
じゃあね!!」