【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
*
いつの間にか意識がなくなってたみたい。
朝目が覚めた時には、昨日の土砂降りが嘘みたいに静まっていた。
「ら...」
彼の名前を呼んで、おはよう。って。
笑いかけたかったのに。
彼はベッドの上で上半身だけ起こして、泣いていた。
そんな彼を、私は後ろからあやす様に抱きしめる。
「蘭君...泣かないで」
「...っ」
「蘭君が泣いてると、私まで辛いの。」
そう言うと、蘭君は流していた涙を腕で拭った。
蘭君の泣いてる理由...なんとなく分かるよ。
本当はお父さんとサヨナラしたくなかったんだよね?
それでも
子供の頃振るわれた暴力が、蘭君の過去を半分も支配してるから
過去を断ち切るには、どうしてもサヨナラしなくちゃいけなかったんだよね...。