【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「ねえ、君たち。
さっきから俺らのこと見てるけど、もしかして惚れちゃった?」
獲物は自分から寄ってきた。
軽い口調に、ネオン街では珍しいシンプルな格好。
さっきまで吸っていた煙草を、地面に落として靴先で踏む男。
「自分たちから寄ってくるなんて...楽しませてくれるんでしょうね?」
威風堂々(いふうどうどう)な光花。
男の"ひゅー!"と楽しげな口笛が、街の明かりで晴れている空へ響いた。
「光花...本当について行くの...?」
コソッと光花の耳元で呟く。
ネオン街から離れて、薄暗い路地裏へ。
男慣れしていない私は不安で不安でしょうがない。
「当たり前じゃん。どうせここら辺フラついててもつまんないじゃん。
彩羽ももうちょっと"遊ぶ"ことを学んだ方がいいよ」
色っぽさ全開の光花が、言いながら男の腕に手を絡めた。