【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。








「ねえ、君たち。
さっきから俺らのこと見てるけど、もしかして惚れちゃった?」




獲物は自分から寄ってきた。



軽い口調に、ネオン街では珍しいシンプルな格好。



さっきまで吸っていた煙草を、地面に落として靴先で踏む男。





「自分たちから寄ってくるなんて...楽しませてくれるんでしょうね?」




威風堂々(いふうどうどう)な光花。


男の"ひゅー!"と楽しげな口笛が、街の明かりで晴れている空へ響いた。





「光花...本当について行くの...?」



コソッと光花の耳元で呟く。




ネオン街から離れて、薄暗い路地裏へ。





男慣れしていない私は不安で不安でしょうがない。






「当たり前じゃん。どうせここら辺フラついててもつまんないじゃん。
彩羽ももうちょっと"遊ぶ"ことを学んだ方がいいよ」




色っぽさ全開の光花が、言いながら男の腕に手を絡めた。





< 5 / 451 >

この作品をシェア

pagetop