【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「誰...あの子?」
「さあ?見ない顔ね」
蘭君にくっついてた女の人のコソコソ話が、嫌でも耳に届いた。
怪しまれて当然だと思う。
私と蘭君の間にある異様な雰囲気に、誰もが注目した。
ーーーその時。
「...っ!!」
大勢の人に紛れ込んでいた一人の男が、鉄パイプを持って、鬼の形相で蘭君の背後に迫る。
それに最初に気づいたのが私。
「らんく...っ!!危ない!!!!!!」
誰よりも先に走りながら
叫ぶと同時に、私は蘭君の背後で庇うように手を広げた。
「ーーーッ」
突然の出来事に、この場に居る全員が目を見開く。
鉄パイプを持った男は、歯止めが利かなくなったのか。
突然現れた私の存在に気づいた時には
もう鉄パイプを振り下ろしていた。
ーーーそして。
バギッ...!!
痛々しい鈍い音が、散らばった星を見上げるように広がる...。