ヘタレなボクが愛した人
翌日、ボクは準備して家を出た。

楽しみすぎてあんまり眠れなかったけど。

待ち合わせ場所はいつもの公園。

しばらくして現れた、ありさちゃんは、

「遅れてごめんなさい。何着ようか悩んでしまって…」と言った。

ハイセンスな服装に思わず言葉を失いそうになるがボクは笑った。

「大丈夫だよ」とボクが言えば、

「いつの間にか、順也さんもモテモテよね。最近は特に…」とありさちゃんに言われて嬉しいような、複雑な気分になった。

「今日の予定は?」とボクが聞くと、
「…とあるバンドのライブに行きたいの。その後ショッピングでともして…その後はディナーよ!もう予約してるんだから!」と嬉しそうに言う。

ディナー?まあそれは良いけど。

ライブ?なんで!?わざわざボクと行く必要がある?

イヤ、そんなこと思っちゃダメだ。

ボクはそれが顔に出ないように、笑顔を作った。

そして勇気を出して、

「これ、ありさちゃんに。どーしても何か渡したくて」と言ってプレゼントを差し出した。

「ありがとう!すごく嬉しい!開けて良い?」と言うのでボクは頷いた。

小さな箱のリボンを外すありさちゃんの顔はキラキラしていた。

そしてリボンを外しきったところで、

「…って私ったら…いくら嬉しいからって立ち話でする事じゃないわよね!ごめんなさい」とありさちゃんは言って大事そうに箱を鞄にしまった。

ボク的には開けてほしかった。

けど、ボクも何を焦ったんだろう。もっと良いタイミングはあったはずなのに、なんでまだデートもしてないのに今渡しちゃったんだろう…

後悔だけが残った。

ありさちゃんが「行こ!」って歩き出したので、ボクも隣を歩いた。

少し人通りの多いところに出ると、めちゃくちゃ視線を感じる。

変装などは一切お互いにしていないからなのか、けっこう悪目立ちしてしまっている。

ボクたちの周りにはすぐ人だかりになる。


ボクとありさちゃんは声をかけられてしまうが、笑顔に対応。

そして、「プライベートなのですいません」と話を流す。
< 35 / 41 >

この作品をシェア

pagetop