ヘタレなボクが愛した人
今日は天気も良いし、久しぶりにゆっくり過ごせそうな気がして、外に出た。

美味しい空気を吸い、穏やかな風を肌に感じる。

ふと、学生の頃を思い出した。

確か…ありさちゃんとよく遊んでたっけ?

よくイジメられたボクを助けてくれてたありさちゃん

あの頃からボクはずっとありさちゃんが好きなんだ…

改めてそう感じていた。

散歩がてら、フラッと街の方に足を踏み入れて、ボクは思わず立ち止まった。

そこには随分派手な女性が…

よく見ると、ありさちゃん!しかも隣には男性…?

こないだ優が別れたばっかだとか言ってたのに…もう違う男性がいるの?

ありさちゃんも笑ってるし…

辛くなったボクはその場に入れず、目が合わないようにして反対側に逃げるようにして遠回りして家に帰った。

家に着くと、ボクは部屋に引きこもった。

よっぽどショックが大きかったのか、食欲はわかず、食事もロクに口に出来なかった。

それは何日も続いた。

ボク…こんなに女々しかったんだ…

友達なのかもしれないのに、ありさちゃんは交友関係も広いし、芸能界にも沢山友達はいるって知ってる。

イケメンさんが近くにいてもおかしくないのに…

なんでこんなにモヤモヤするんだろう。

声かけれなかった自分が情けなくて、思わず涙が流れそうになった。

頬はやつれ、顔もクマが深くなっていた。

鏡を見るのも辛くなる。

それでも、仕事のために家を出なくちゃいけない。

そのことが今は辛い。

とりあえず家を出て歩き出した。

しばらく歩いてると、優に出会った。

「じゅっ…順也さん?なにかあったんですか?」と優が随分焦った様子で聞いてきた。

ボクは黙りを決め込む。

「とりあえず、場所変えましょ!」と優は言って歩き始めた。

つられるようにしてボクは優の後ろをついていった。

とあるカフェに連れて来られたボクは、カウンター席に並んで座り

とりあえず、コーヒーを頼んだ。

カフェラテの甘いやつ。ボクが激甘党なのを知ってる優はテキトーに甘いお茶請けも注文してくれた。

「で、何があったんですか?」と聞いてくる優はマネージャーとしてではなく、いち友人として本気でボクを心配して聞いてくれている。

なのでボクもちゃんと本気で答えることにした。
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