雪と断罪とそして、紅
「早く行かないと摂紀と律生が待ってる……っ!」
あたしは仕事を終えて、我が子達が待つ保育園に向けて走っていた。
摂紀はあたしの子とは思えないくらいしっかりした子に育ったけど、律生はまだまだ甘えん坊だ。
親バカだけど、二人とも彼の子供だけあって整った顔をしているから大きくなったらモテるに違いない。
「此処にいた」
ふと、聞こえた声に耳を疑った。
今の声って……。
あたしは声がした方を振り返ると、そこにいた人物の姿に泣きそうになった。
そこにいたのはもう会えないと思っていた彼だった。
「あな──」
「ほら、帰るよ。三月様も心配してるから」
彼の紅い瞳はあたしを見てなかった。
彼が見ていたのは律生と同じくらいの年の女の子だった。