雪と断罪とそして、紅
~♪~♪~♪~♪
鼻歌を歌いながらボストンバッグを手に、自室からリビングへ向かう。
リビングへ続くドアを開ければ、僕と一番上の姉以外の家族が揃っていた。
そして、皆僕の姿に絶句する。
「お前、その格好……」
「おはよう、父さん。僕……私はもう男じゃない」
父さんの驚きを隠せない顔に、私はグロスを塗った口に笑みを浮かべる。
白のブラウスに淡い黄色のスカート、ベージュのストッキングを穿いて淡いベージュのパンプス。
大好きなものを私は今、身に付けている。
「そんな格好は許さん!」
父さんは私に近付いてくると、無理矢理服を脱がそうとしてきた。
が、父さんはその場に膝をついて苦しみ始める。
「あなた!」
「パパ!?」
そんな父さんに母さんと三番目の姉が駆け寄る。
「私に触ると死んじゃうよ?……これが噛み付くからね」
私は指の上に毒を持ったムカデを乗せて、母さん達に見せた。