雪と断罪とそして、紅
この子には悪いけど、僕の憂さの捌け口になってもらう。
「こんな夜更けに高校生が何してるのかな?」
そっと背後に忍び寄り、高校生の口を塞ぐと路地裏へと連れ込む。
今回は何となく自分の容姿を餌に使いたくなくて、無理矢理連れ込んで殺す方法を選んだ。
連れ込んだ高校生を口を塞いだまま壁に押し付けて、ナイフを取り出す。
「さあ、聞かせてよ。君の悲痛な叫──っ!?」
高校生の顔に僕は言葉を失う。
何で彼女が此処にいる?
いや、そんなわけがない。
「アリス……ちゃん……?」
彼女は……アリスちゃんはもう高校生なんかじゃないなんだから。
高校生の顔は僕が人を殺し、憎まれてまで己を見て欲しいと願った愛しい相手……アリスちゃんにそっくりだった。
僕は柄にもなく驚いてしまって、高校生の口から手を離してしまう。