雪と断罪とそして、紅
それから皆戸朱寧は僕の前に現れるようになった。
僕の居場所は警察や三名家でさえも知らないはずなのに、彼女はいつも僕の前に現れる。
「……何で僕の居場所が分かるの?」
この日も公園のベンチでフードを目深く被って寝ていたら、彼女が飲み物を持って現れた。
フードを少しずらして彼女を睨めば、彼女は子供みたいな笑顔を浮かべながらココアを差し出してくる。
「んー、貴方のストーカーだからかな?赤目のお兄さん」
「……ココアを差し入れするストーカーとか気持ち悪いな」
そう言いながらも僕は体を起こして彼女からココアを受け取る。
暖かくなってきているとは言え、さすがにベンチで寝ていると少し冷える。
だから、温かいココアは身にしみた。
皆戸朱寧は僕の隣に座ると、自分の分のココアを開けて口をつけた。
ふっくらとした唇は飲み口に触れて軽く凹み、離れるとまたふっくらと膨らむ。
……って、僕は何で彼女を見ている?
僕が愛してやまないのはアリスちゃんだというのに。