雪と断罪とそして、紅
「──そうか、切碕は消えたか。ああ、これで全て終わったな……」
俺はアリスからの電話を切ると、窓辺からベッドの方へ近付く。
キングサイズのベッドの端に座ると、ベッドに眠る彼女の頬に触れる。
「全て終わったぞ。いつ目覚めるんだ、冬雪……」
ベッドに眠るのは最愛の妻、冬雪。
冬雪は一人娘の詩依を産み落としてすぐに深い眠りに落ちた。
表向きは出産の後遺症とされているが、実際は切碕の呪いと俺とアリス、周は結論付けた。
切碕が死んでから母さんやアリスの母親である三月さん、周の父親である翔(カケル)さんが相次いで死んだからだ。
それに、俺達の子供達も原因不明の病を持って産まれてきた。
それは切碕の呪いとしか思えなかった。
でも、今のアリスの話だと呪いをかけていたのは切碕じゃなくて安倍明晴だったらしいがな。
俺は冬雪の頬を撫でるとそっと手を握った。