雪と断罪とそして、紅


眠り続ける最愛の妻。





「冬雪、起きて……。話したいことがたくさんあるんだ……。それに、君も詩依と話したいだろ?」





冬雪は詩依が生まれてくることを楽しみにしていた。





家族を失って、身内と呼べる人がほとんどいない彼女にとっては詩依は命より大事な存在。






生まれてきて、その腕で抱くことを楽しみにしていた。






でも、冬雪は産まれたばかりの詩依を抱いたのは眠りについてからだった。





なら、せめて、話だけでもさせてあげたい。






「お父さん」





ふと、詩依が静かにドアを開けて部屋に入ってきた。






「どうした、詩依?」






「今、凌君から電話が来て呪いが解けたって……。お父さん、私、死ななくて良いんだよね……?」






詩依と周の息子の凌君、アリスの娘の志摩ちゃんは呪いのせいで死に怯える生活をしていた。






でも、呪いが解けた今その必要は無くなった。





「ああ。じきに母さんも目覚めるよ」





俺はベッドから立ち上がると詩依に近づいて抱き締めた。






腕の中の最愛の一人娘は堪えていたものを吐き出すように声を上げて泣いた。





冬雪、君はいつ目覚めるんだ……?







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