雪と断罪とそして、紅
怒鳴り声を上げれば摂紀は涙を堪えていたけど、律生の泣き声は大きくなった。
その声が耳障りであたしは律生に手をあげようとしたけど、摂紀が律生を庇った。
律生は摂紀が守っている……。
じゃあ、あたしは?
あたしのことは誰が守ってくれるの?
──誰も守ってくれない。
「邪魔だよ、摂紀!」
涙を溜めながらも律生を守ろうとする摂紀に、腹が立った。
泣けば守ってもらえると思っている律生に腹が立った。
どちらも彼とあたしの大切な子供達なのに、もう駄目……。
あたしはもうこの子達を愛せない。
彼の血が流れているかと思うと愛せない。
彼は──。
「お前達の父親は最低な男だった。大きくなったらお前達でその男を殺せ」
あたしを捨てた最低な男だったんだから──。