雪と断罪とそして、紅
──彼女はいつも違う誰かを見ている。
「ねぇ、天河。君もそう思わない?」
その写真立てには今は亡き俺の親友が映った写真が入れられている。
彼女が──アリスさんが今は亡き俺の兄、和真と同じくらい愛した天河の写真が。
天河が死んでから半年。
彼女はようやく天河の死を受け入れ、前に進もうとしていた。
「天河も多分俺と同じ意見ですよ。で、あの子達の名前、決まったんですか?」
俺は拾いあげる紙に書かれた2つの名前を見ながら彼女に問う。
「……決まったら、こんなに書き散らかさないよ」
まあ、それもそうか。
俺が拾いあげている紙の分だけ二人分の名前が書かれていて、どれも×印が書かれている。
女の子と男の子の名前が一つずつ書かれたそれは彼女が前に進むために行っていることだ。